サンゴの白化(白色化)は、おもに高水温によって(真水や低水温などのストレスでもなりますが)引き起こされます。
海水温が30度近くに達し長時間続くと、サンゴに共生している褐虫藻(色素を持っている)が、「うわぁ~あちーあちー!こんなとこおれん!」(と言っているかはわかりませんが)と、サンゴから出て行ってしまうために起きる現象です(かなりざっくり)。
観察していると、全体的に色が薄くなる群体や一部から真っ白になる群体など様々です。
枝状の造礁サンゴ(ハードコーラル)は、比較的根元部分が最後まで色が残るような気もしますが、サンゴの種や固着している環境によっても違うように思います。
映像のサンゴはハナヤサイサンゴ属のサンゴです。
白化が進んで全体的に白くなり、先端には藻のようなものが付着し始めています。
ちょうど生死の境目、、、と言ってよい群体かと思います。
あーもう死んじゃうのかな、、、と思いがちですが、よ~っく目を凝らして見てください。
先端にイソギンチャクのような触手(ポリプ)がちょこっと見えます。
根元付近の茶色い部分(褐虫藻が残っている部分)では、まだまだワサワサと触手が動き、プランクトン等の養分を捕食しようとしています!
この群体の再生自体は、かなり厳しい状況であることに間違いありません。
サンゴ全体が藻に覆われるのにそれほど時間は掛からないかもしれません。
しかしながら、白化した先端のサンゴ個体も生きています。そして根元には元気なサンゴ個体と褐虫藻も残っています。
オニヒトデなどの食害に遭ったサンゴも、食べられた部分は同じように白くなりますが、こちらは白くなると同時にサンゴ(の肉)も食べられているので死んでいます。
今回のように高水温による白化の場合は、映像のように白色化してもポリプが確認できる場合は、その部分のサンゴ個体は生きていますので、まだ回復の余地はあります。
かつて、白化したように見えたサンゴ群体でも、元気な(褐虫藻の残った)20個体くらいから回復したサンゴもありました。
サンゴの回復の鍵は、周辺の環境にあります。
陸域からの排水、赤土、酸性化、高水温などなど。
挙げればキリがありませんが、いずれも人の生活に起因するもの。
サンゴからのメッセージを受け止め、今後の回復もしっかり見守っていきたいと思います。
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